「テニス肘」になると、運動中に痛みが出るだけでなく、日常生活にも支障が出る可能性があります。
スマホを使うときに痛みを感じる場合もあるため、適切な治療を受けたり、自分でストレッチやマッサージなどのケアを実施したりすることが重要です。
この記事では、テニス肘の治療や自分で行えるストレッチ方法について解説します。
■テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは?
テニス肘とは、肘の外側から前腕にかけて痛みが生じる「腱の炎症」です。
正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」と呼ばれ、肘周囲に痛みが生じた場合に診断されることがあります。
趣味や競技でテニスをする方に多いことから「テニス肘」と呼ばれていますが、日頃から手や腕を多く使う方にも起こりうる病気です。
加齢によって腱が傷むのも原因の1つであり、中年以降の方にも多く見られます。
テニス肘になると、日常生活において手を使うシーンで痛みを感じるようになります。
たとえば、ドアノブを握って回すときや、雑巾・タオルなどを絞るときなど、力を入れて手を動かすタイミングで痛みを感じることが多いです。
近年ではスマホを操作する際にも痛みを感じる方が多く「スマホ肘」とも呼ばれ始めています。
悪化すると、日常生活動作の多くのシーンに支障が出る可能性があるため、痛みや違和感を覚えた段階から受診することが重要です。
テニス肘に関する詳しい情報は「肘の使いすぎ? 肘の外側が痛い「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」の原因や症状について解説の記事で紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
■テニス肘の治療法
テニス肘の主な治療法には以下があります。
・保存療法
・手術
詳しく見ていきましょう。
◎保存療法
保存療法とは、手術をせずに薬やリハビリなどでテニス肘を治療する方法です。
テニス肘に対する保存療法では、以下のような治療を実施します。
・安静
・物理療法
・運動療法
・薬物療法
・装具療法
テニス肘の保存療法では、基本的に患部の安静を優先します。
手に強い力がかかる運動や仕事の動作は控え、肘の腱の炎症が落ち着くまで経過を観察するのが一般的です。
安静にしている間は、さまざまな治療手段を併用する場合もあります。
電気や熱で肘周囲の筋肉をほぐし、痛みや腱への負担をやわらげる「物理療法」や、理学療法士・作業療法士・柔道整復師の指導のもとストレッチや運動を実施する「運動療法」などが主な治療法です。
また、痛みが強い場合は腱に注射を打ったり、肘の腱の動きを補うサポーターやテーピングを実施したりする場合もあります。
◎手術
保存療法で経過を観察し、治療効果が見られない場合には手術を検討します。
肘の筋膜を切除したり、腱の付着部を切り離したりなど、症状に合わせた手術方法が選択され、痛みの改善を目指します。
手術後は経過観察やリハビリによって機能の回復を促し、2~3ヶ月ほどで元通りの日常生活に戻れるでしょう。
※個人差があります。
■自分でできる!テニス肘のストレッチ方法
テニス肘は自分でストレッチやマッサージを行うことにより、症状を緩和したり、悪化を予防したりできます。
自分で簡単に行えるケアについて、詳しく見ていきましょう。
◎ストレッチ
テニス肘に対するストレッチは、以下の手順で実施します。
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腕をまっすぐ前に伸ばす
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手のひらを下に向ける
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反対側の手で手の甲を上から包む
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手のひらが自分の身体に向くように引っ張る
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10~20秒キープし力を抜く
このストレッチを3~5回ほど繰り返すと、肘に付着する筋肉をやさしくほぐすことが可能です。
なお、手のひらを返して同様のストレッチを実施すれば、肘の内側の筋肉も伸ばせます。
仕事の休憩時間や寝る前など、こまめにストレッチを実施するとよいでしょう。
◎マッサージ
テニス肘に対するマッサージでは、手の甲から肘にかけてまんべんなくほぐすのが効果的です。
テニス肘の痛みに関わる筋肉は手の動きに関わるため、痛みが出ている場所から手の甲にかけてマッサージすることで、症状が緩和される可能性があります。
あまり強く揉みすぎると「揉み返し」が起こり、かえって痛みが強くなる可能性もあるため、マッサージのしすぎには注意しましょう。
■テニス肘の治療は整形外科にご相談ください
テニス肘はスポーツだけでなく、日常生活における手の使いすぎでも起こります。
スマホを使うときや家事のときに痛みを感じている場合、肘の炎症が起こっているかもしれません。
本記事を読んで「テニス肘かも?」と思った方は、早めに検査と治療を受けましょう。
『おおかわ整形外科』では、テニス肘の治療やストレッチ・マッサージ方法の指導を提供しています。
肘の痛みにお悩みの方は、気軽に当院へご相談ください。