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中高生の部活疲れは危険?成長期のオーバートレーニング5兆候

中高生の部活疲れは危険?成長期のオーバートレーニング5兆候

「ただの疲れ」で片づける前に、家庭で確認したいサインがあります


練習量が増えてから、朝起きるのがつらそう。食事も進まず、足の違和感を口にするのに、本人は休みたがらない——そんなお子様の様子に、どう向き合うか迷う保護者の方は少なくありません。この記事では、成長期特有の身体の変化をふまえ、家庭で気づける5つの兆候と、整形外科へご相談いただく目安を整理します。


この記事の要点まとめ


  • 朝の倦怠感や食欲低下など、家庭で気づける5つの兆候を紹介しています。
  • 成長痛と間違えやすいオスグッド病などのスポーツ障害の見分け方を整理しています。
  • 痛みが続く場合の受診目安と、栄養・睡眠によるケアの工夫をまとめています。

部活を頑張る中高生に潜むオーバートレーニング症候群とは


練習量と休養のバランスが崩れた状態が続くと、身体は立て直しに時間を要するようになります。関節の痛みだけにとどまらず、全身の倦怠感や気分の落ち込みを伴う場合がある——ここがこの状態の特徴として知られています。


単なる筋肉痛・日常的な疲労との決定的な違い


普段の練習後に出る疲労や筋肉痛であれば、一晩から数日の休養で軽くなっていくことが一般的です。一方オーバートレーニング症候群では、休んでも疲労感が抜けにくく、数週間単位で続くケースが報告されています。


背景には、過度な負荷の反復によって自律神経やホルモンの働きにゆらぎが生じることが関与すると考えられています。そのため身体面だけでなく、寝つきの悪さ、気分の変動、練習に身が入らない感覚といった精神・神経面の変化も、見分けの手がかりになります。


「頑張りが足りない」「気持ちの問題」と受け取られがちですが、身体が休息の時間を求めているサインとして捉える視点が大切です。


成長期の骨(骨端線)と筋肉のアンバランスが招くリスク


中高生の骨には、成長に関わる軟骨層である骨端線が残っています。大人の骨に比べると力学的な負担に弱く、繰り返しの牽引や衝撃が集中しやすい部位とされます。


さらに成長期は、骨が伸びるスピードに筋肉や腱の柔軟性が追いつきにくい時期。太ももの前面やふくらはぎが相対的に硬くなり、膝のお皿の下やすねの内側に強い引っ張り力がかかりやすくなります。これがオーバーユース(使いすぎ)によるスポーツ障害の下地になると考えられています。


身長が急に伸びた時期に痛みを訴え始めたなら、練習量そのものより、身体の変化に負荷が見合っていない可能性も考えてみてください。


保護者が家庭で気づくべきオーバートレーニング5つの兆候

保護者が家庭で気づくべきオーバートレーニング5つの兆候

医療機関での検査の前に、家庭での観察が手がかりになります。以下の5点を、数日〜1週間ほど続けて見てみましょう。


兆候1・2:朝の倦怠感・起床時心拍数の上昇と食欲の低下


一つ目のサインは、朝の状態。目覚まし時計で起きられない、起きても身体が重そう。そんな日が続くようであれば、休養が足りていない可能性があります。


もう少し客観的な目安として、起床直後・布団の中で安静のまま測る脈拍を記録する方法があります。普段の平均より1分あたり5〜10拍ほど高い日が数日続くときは、休養の配分を見直す材料の一つになります。スマートウォッチがなくても、手首で15秒数えて4倍する簡易的なやり方で足ります。


二つ目は食欲です。運動量が増えているのに食事量が落ちる、好きだったものに手が伸びない——消化機能や自律神経の疲れを映している場合があります。エネルギー不足が続けば、骨や筋肉のコンディションにも関わってきます。


兆候3・4:睡眠リズムの乱れと集中力や競技意欲の減退


三つ目は睡眠。疲れているはずなのに寝つけない、夜中に目が覚める、朝早く目覚めてしまう。深く眠れていない状態は、身体の修復が進みにくい状況を示唆することがあります。


四つ目は気持ちの変化です。宿題に集中できない、些細なことでイライラする、あれほど好きだった競技の話題を避ける。「やる気の低下」に見える変化が、実は身体からの合図であることは珍しくありません。指導者や保護者が根性論で受け止めてしまうと、状態が長引く一因にもなり得ます。


兆候5:動作の違和感や特定部位の痛みの長期化


五つ目は、痛みの持続。階段の昇り降りやしゃがみ込み、練習の走り出しなど、特定の動作で毎回同じ場所が痛むようなら注意が必要です。


目安は三つ。同じ部位の痛みや違和感が1週間以上続く、痛む場所を指1本でピンポイントに示せる、痛みで動作をかばう。いずれかに当てはまるときは、家庭でのアイシングやストレッチだけで様子を見続けず、整形外科での確認をご検討ください。


成長痛と誤認されやすい中高生のスポーツ障害と対応法

成長痛と誤認されやすい中高生のスポーツ障害と対応法

「成長痛だから、そのうち落ち着く」と考えられがちな痛み。その中に、医療機関での対応を要する状態が混ざっていることがあります。


オスグッド病・シンスプリント・疲労骨折の特徴と見分け方


代表的なものを、痛みの場所から整理してみます。


  • オスグッド病:膝のお皿のすぐ下の骨が出っ張り、押すと痛む。ジャンプやダッシュの多い競技でみられます。
  • ジャンパー膝(膝蓋腱炎):お皿の下端から腱にかけての痛み。着地動作でつらさが出やすい傾向があります。
  • シンスプリント:すねの内側に沿って、広い範囲がじんわり痛む。走行量が急に増えた時期に多くみられます。
  • 疲労骨折:すねや足の甲、腰などに、指で押さえられるほど限局した痛み。安静時にも痛む場合があります。

いわゆる成長痛は、夕方から夜間に脚のあちこちが痛み、翌朝には落ち着くのが典型的なパターンとされます。運動時に決まった場所が痛むなら、成長痛とは分けて考える姿勢が基本です。そのまま負荷を重ねると、骨の形状の変化や競技休止期間の長期化につながる可能性も指摘されています。


「休めない」と悩むお子様に寄り添うコミュニケーション


レギュラー争いのさなかにいるお子様にとって、「休む」は簡単な選択ではありません。頭ごなしに練習を止めると、痛みを隠すようになることもあります。


家庭では、「休め」ではなく「今の状態を一度確認しておこう」と、選択肢を増やす言い方が伝わりやすくなります。指導者へ伝えるときも、「休ませたい」ではなく「医療機関で確認したうえで、できる練習量を相談したい」と切り出すと、話が前に進みやすくなります。


当院でも、部活動に取り組む患者さまには、競技を続けたい気持ちを尊重しながら、今の身体でどこまで動けるかを一緒に整理していく姿勢を大切にしています。


整形外科を受診する目安と早期回復に向けた検査・ケア


痛みが1週間以上続く、腫れや熱感がある、動作をかばって歩き方が変わった。こうしたときは、早めに整形外科へご相談ください。


レントゲンやオープン型MRIによる骨・軟部組織の精査


接骨院での手技も身体のケアの一つですが、骨の状態や靭帯・腱の炎症を画像で確認できるのは医療機関です。初期の疲労骨折はレントゲンに写らないことがあり、その場合はMRIでの確認が判断材料の一つになります。


当院ではオープン型MRIを導入しています。開放感のある構造のため、狭い空間が苦手なお子様でも受けていただきやすい環境を整えました。あわせてレントゲンや骨密度測定装置も備え、骨と軟部組織の状態を多角的に確認したうえで、リハビリの方針や競技復帰の進め方をご提案しています。


回復を促す栄養補給の工夫と睡眠時間の確保


身体を立て直すには、休養の質も欠かせません。中高生に推奨される睡眠時間は、一般に8〜10時間程度とされています。まずは就寝時刻を30分早めるところから始めてみてください。


栄養面では、練習直後30分以内の補食が一つの工夫です。おにぎりやバナナといった糖質に、牛乳やヨーグルトなどのたんぱく質を組み合わせる形が取り入れやすいでしょう。夕食までの空白時間を埋めておくことが、翌日の消耗を抑える一助になると考えられています。ストレッチやアイシングも、痛みの部位や時期に応じて使い分けたいところです。


よくある質問


Q1. オーバートレーニングの状態が落ち着くまで、どれくらいかかりますか?

A. 状態の程度や競技、年齢によって幅があり、一律にお答えするのは難しいところです。軽い段階なら数日〜2週間程度の負荷調整で経過をみることもありますが、長引く場合は数週間以上を要するケースもあります。ご自身の判断で期間を決めず、経過を診ながら段階的に負荷を戻す進め方が現実的です。


Q2. 成長期に運動しすぎるとどうなりますか?

A. 骨端線という成長に関わる部分に負担が集中し、オスグッド病やシンスプリント、疲労骨折といったオーバーユースによる障害が起こりやすくなるとされています。痛みを我慢して続けると休止期間が長引くこともあるため、早めの確認をおすすめします。


Q3. 筋トレをしすぎると身長が伸びなくなりますか?

A. 適切な負荷と指導のもとで行う筋力トレーニングが身長に影響するという明確な根拠は示されていません。ただし、フォームが崩れた状態での高負荷や、休養・栄養が不足したままの継続は、骨端線への負担につながる可能性があります。年齢に応じた内容を選ぶことが大切です。


Q4. スポーツを長く続けている子に共通点はありますか?

A. 一概には言えませんが、身体の声に気づける、休養と栄養を練習の一部として捉えられる、指導者や保護者に体調を伝えられる。こうした点は、競技を続けるうえで役立つ要素と考えられます。


Q5. 整骨院と整形外科は、どちらに相談すればよいですか?

A. 骨や関節の状態を画像で確認したい場合、また痛みの原因がはっきりしない場合は、まず整形外科でのご相談をご検討ください。診察のうえで、リハビリの方針についてもご説明いたします。


大川 力

医師


おおかわ整形外科

院長

大川 力

▶ 監修者プロフィール

経歴
1991年 岐阜大学医学部卒業
1991年 三重大学医学部整形外科学教室入局
1991年 山田赤十字病院(現伊勢赤十字病院)整形外科勤務
1997年 名張市立病院整形外科勤務
1998年 山本総合病院(現桑名市総合医療センター)整形外科勤務
2000年 富田浜病院整形外科勤務
2000年 おおかわ整形外科開院
資格・所属学会
日本整形外科学会整形外科専門医
日本運動器学会運動器専門医