「ロコモティブシンドローム」という言葉を知っていますか?
ロコモティブシンドローム(以下:ロコモ)の方は、筋肉や骨が弱り、日常生活に支障が出てしまうことです。
ロコモの方は介護や介助が必要になる可能性が高く、自力で生活できなくなってしまう方もいます。
正しい知識と予防法を身に着け、いつまでも自立した生活を送れるようにしましょう。
この記事では、ロコモの概要やセルフチェックリスト、予防方法などを解説します。
目次
■ロコモとは?
ロコモを簡単に説明すると、筋肉や神経、骨や関節などに問題が生じることで、自力で体を動かしたり、移動する能力が低くなった状態のことです。
ロコモになると、動くときのバランスが悪くなるだけでなく、自力で移動する距離や範囲に制限が出てしまう場合があります。
加齢に伴う筋力の低下や骨密度の低下などにより、ロコモに陥る高齢者も少なくありません。
高齢化の続く日本では、ロコモのリスクの高さが問題視されており、予防や対策が重要であるとされているのです。
ロコモの危険性をよく理解し、自分がロコモ予備軍かどうかをチェック・予防することが大切です。
■ロコモが進行するとどうなる?
ロコモが進行すると、将来的に介護なしで動けなくなってしまう可能性があります。
筋力が弱ってしまったり、骨が脆くなってしまったり、神経がうまく働かず動けなくなったりして、自力で移動できなくなってしまいます。
外出が難しくなり、自宅に引きこもってしまう場合もあるでしょう。
最終的には、自宅のトイレやお風呂にも、自分で歩いて向かえなくなってしまう恐れもあります。
気が付かないうちにロコモに陥っており、歩けなくなってしまう可能性もあるため、早めに対策・予防を始めることが大切です。
■ロコモの診断方法
ロコモティブシンドロームの提唱をはじめた「日本整形外科学会」では、ロコモの度合いをチェックできる「ロコモ度テスト」を紹介しています。
※ロコモ度テスト | ロコモONLINE |
日本整形外科学会公式
ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト
ロコモ度は1~3まであり、数字が大きくなるにつれて、運動器の機能が低下している状態とされます。
ロコモ度1:移動機能の低下が始まっている状態
ロコモ度2:移動機能の低下が進行している状態
ロコモ度3:移動機能の低下が進行し、社会参加に支障をきたしている状態
ここでは、ロコモ度テストの内容を簡単に紹介していきます。
◎テスト①:立ち上がりテスト
立ち上がりテストでは、脚の筋力がどのくらいあるかをテストします。
テスト内容は以下の通りです。
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40㎝の台に浅く腰掛ける
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両腕を胸の前で交差する
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ゆっくりと立ち上がり、3秒間バランスを保つ
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両脚で立てた場合は、片脚でもできるか試す
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40㎝ができたら30㎝、20㎝、10㎝と台を低くしていく
40㎝と30㎝の台から両脚で立てなければ、もっとも深刻なロコモ度3とされます。
20㎝から立てなければロコモ度2、10㎝から立てなければロコモ度1となります。
※立ち上がりテスト | ロコモONLINE |
日本整形外科学会公式
ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト
◎テスト②:2ステップテスト
2ステップテストは、歩幅からロコモ度を測定するテストです。
2ステップテストは以下のような手順で行います。
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スタートラインに両脚のつま先を合わせる
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可能な限り大股で2歩歩き、両足を揃える(バランスを崩したらやり直す)
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2本分の歩幅を測定する
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2回行い、良かった方を記録する
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2歩幅÷身長で出た数値でロコモ度を測定する
計算して出た値が1.1以上1.3未満の場合はロコモ度1、0.9以上1.1未満の場合はロコモ度2、0.9未満の場合はロコモ度3となります。
※2ステップテスト | ロコモONLINE |
日本整形外科学会公式
ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト
◎テスト③:ロコモ25
ロコモ25とは、生活に関する25個の質問のことです。
直近1か月の体の痛みや生活に関する25個の質問に、5段階で回答していきます。
質問の合計点数により、ロコモ度1~3が判断されます。
詳しくは、日本整形外科学会のロコモ25のページを確認してみてください。
■ロコモのセルフチェックリスト
ロコモは病院で相談・検査できますが、自分で簡単にチェックすることも可能です。
ここでは、日本整形外科学会の「ロコチェック」の内容を紹介します。
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片脚立ちで靴下がはけない
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家の中でつまずいたり、すべったりする
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階段を上がるのに手すりが必要
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家のやや重い仕事が困難(掃除の使用や布団の上げ下ろしなど)
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2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難(1リットルの牛乳パック2個程度)
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15分続けて歩けない
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横断歩道を青信号で渡り切れない
これらに1つでも当てはまる場合、ロコモの可能性があります。
当てはまったら、はやめにトレーニングや対策をして、ロコモの進行を予防しましょう。
※ロコチェック | ロコモONLINE |
日本整形外科学会公式
ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト
■ロコモになりやすい人の特徴
以下のような生活を送っている方は、ロコモになる可能性が高くなります。
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運動不足である
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食生活が乱れている
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けがや病気を放置している
ロコモの大きな原因は運動不足です。
日頃運動する習慣が無かったり、外出が億劫で家の中にこもっていたりすると、ロコモになりやすくなります。
また、食事のバランスが悪く栄養が偏っている方も、筋肉や骨に十分な栄養がいかず、ロコモになりやすいです。
食事を大切にし、体を健康に保つよう努力しましょう。
また、体の痛みや病気・けがを放置していると、歩き方や動き方が悪くなり、運動器の機能に問題が起こってしまいます。
痛みや違和感などがあったら放置せず、きちんと検査・治療することが大切です。
■ロコモを予防するには?
ロコモを予防するには、運動を習慣づけ、毎日きちんと栄養を摂取することが大切です。
毎日少しずつ散歩やトレーニングを行い、筋肉や骨・関節を丈夫に保つようにしましょう。
また、運動だけしていても体は痩せてしまいます。
バランスの良い食事を心掛け、体に栄養を行き渡らせましょう。
■ロコモが不安な方は整形外科にご相談を
ロコモは高齢化の進む日本にとって大きな問題です。
ロコモを予防し、いつまでも自分の足で動き続けられるよう、運動や食事を大切にしましょう。
定期的にロコモのチェックを行い、自分の運動習慣や生活が十分か確かめることも大切です。
『おおかわ整形外科』では、ロコモの検査や運動の指導、ロコモに関する相談やアドバイスなどを承っております。
ロコモ度のチェックと、一人ひとりに合わせた運動方法、栄養バランスなどを提案可能です。
ロコモが不安な方、いつまでも自分で動きたい方は、当院へご相談ください。