「最近肩を動かすのがつらい…」
「腕を挙げると痛みが出る…」
このような症状がある方は、四十肩や五十肩かもしれません。
四十肩や五十肩は、肩の関節を構成する組織の老化や炎症によって生じます。
腕を動かしにくくなったり、動きに痛みを伴ったりなど、さまざまな不具合がでるのが特徴です。
四十肩や五十肩は早めに治療しなければ、重症化し腕を動かせなくなることもあります。
原因や症状を理解しておき、もしものときにすぐ受診できるようにしましょう。
この記事では、四十肩・五十肩の原因や症状、チェックリストなどを解説します。
目次
■ 四十肩とは?
四十肩(五十肩)とは、肩関節の痛みや動かしにくさが生じる状態の総称です。
医療機関では「肩関節周囲炎」として扱われており、炎症の一種であるとされています。
四十肩や五十肩では、肩を構成する組織(筋肉・腱・骨・関節・靭帯など)に炎症が起こります。
炎症によって痛みが生じるため、服を着替えたり、手を伸ばしたりするのが困難になり、日常生活に大きな支障が生じることもあるのです。
四十肩や五十肩は、特に治療を行なわずとも治ることがあります。
しかし、中には関節が固まってしまい、手術が必要になることもあります。
痛みや動きの悪さを感じた場合には、一度整形外科を受診し、治療の必要性を聞くことが大切です。
■ 四十肩と五十肩の違い
四十肩と五十肩の明確な違いはありません。
40歳代で起これば四十肩、50歳代で起これば五十肩と呼ばれます。
加齢に伴って生じやすく、昔は長命の方に生じていたことから五十肩と呼ばれているとの説もありますが、詳しい由来は分かっていません。
正式名称の「肩関節周囲炎」よりも馴染みが深く、人に説明しやすいことから、四十肩・五十肩という呼び方が浸透しているのかもしれません。
■ 四十肩・五十肩の原因
四十肩や五十肩は、肩関節を構成する以下の組織の老化が原因で起こるとされています。
- 骨
- 軟骨
- 筋肉
- 腱
- 靭帯
- その他の組織 など
肩関節の構成には多くの組織が関わっており、これらが老化して機能が低下すると、周囲の組織が炎症を起こして四十肩・五十肩の症状が現れます。
また、肩関節の動きを滑らかにする「肩峰下滑液包」(けんぽうかかつえきほう)や、肩関節を包み込んでいる「関節包」が、炎症の影響を受けて癒着し、さらに動きが悪くなることもあるのです。
■四十肩・五十肩の症状
四十肩・五十肩の症状を部位ごとに解説します。
◎腕
最も顕著に症状が出るのが腕(肩)になります。
四十肩・五十肩で出現する腕の症状は以下のようなものです。
- 手を挙げられない/挙げると痛みが出る
- お風呂で頭を洗えない
- 顔に手を持ってこられない
- 腰紐や帯を結べない
- 手で背中を掻けない
- シートベルトを締められない
- さまざまな方向に腕を伸ばすのがつらい
- 寝ている間に腕(肩)が痛くなる
日常生活のさまざまな動きには、肩関節の動きをたくさん必要とします。
洗髪や整髪、洗顔や食事など、肩が動かないとできない動きがたくさんあり、不便を感じるでしょう。
炎症が悪化すると、動かさなくても痛みが出たり、寝ている間に痛みを感じたりします。
睡眠不足になる場合もあるため、悪化を予防し適切に治療することが大切です。
◎首
四十肩・五十肩で肩の動きが制限されると、首の筋肉も硬直してしまい、動きに伴って痛みが出ることがあります。
頭を捻ったり傾けたりすると、筋肉のこわばりと痛みを感じる方もいるでしょう。
◎肩甲骨・背中
肩甲骨と腕の動きには深い関りがあり、腕の動きが小さくなることで、肩甲骨の動きも悪くなります。
肩甲骨を動かす背中の筋肉も固まってしまうため、動きや姿勢の変化に伴って痛みを感じるでしょう。
また、慢性的な背中の張りにより、日中の活動中や就寝中に違和感を感じる方もいます。
■四十肩・五十肩の症状チェックリスト
四十肩・五十肩の症状を簡単に調べるチェックリストを紹介します。
多く当てはまる場合は肩に炎症が起きている可能性があるため、一度整形外科に相談してみてください。
- 腕を肩より高く挙げられない
- 腰に手を回せない
- 頭のてっぺんを触れない
- 反対の腕で支えないと腕を挙げていられない
- 寝ている間に肩が痛くなる
- 胸を張ると腕や肩に痛みが出る
- 手を伸ばして物を掴むのがつらい
上記のチェックリストはあくまでも目安となります。
炎症以外が原因であったり、肩こりが起きているだけの可能性もあるので、不安な場合は整形外科を受診しましょう。
■ 四十肩・五十肩の治し方
四十肩・五十肩は、炎症や痛みの生じた時期によって治療法が異なります。
発症から間もない「急性期」には、固定などによって安静にしておくことが大切です。
同時に、消炎鎮痛効果のある注射や内服薬を使用し、炎症が引くのを待ちます。
炎症が引き、徐々に肩を動かせるようになってきたら、温熱療法や運動療法などによって、徐々に動きを良くしていきます。
筋肉をほぐし、関節の動きを滑らかにしていくことで、痛みや動かしにくさが改善するでしょう。
動きが改善せず、関節が固まってしまった場合には手術も検討します。
手術には負担も伴い、施術後も時間をかけてリハビリが必要となるため、医師や家族とよく相談して決めましょう。
■四十肩・五十肩で注意することとは?
四十肩や五十肩の症状がみられる間は、以下のことに注意して生活しましょう。
- 過度に重いものを持ち上げる
- 自己流でマッサージや体操を行う
- 痛みのある肩を下側にして眠る
- 痛みが続いているのに治療を行なわない
特に炎症の強い急性期に上記を行なってしまうと、症状が悪化し強い痛みを伴うこともあります。
悪化を予防し、すみやかに治療を進めるためにも、治療中の過ごし方には気を配りましょう。
■四十肩かな?と思ったら整形外科にご相談ください
四十肩や五十肩は、適切な治療によって悪化を予防できます。
また、積極的な治療を行う時期と安静にするべき時期があるため、医師や理学療法士の指示のもとで治療を進めることが大切です。
「おおかわ整形外科」では、四十肩・五十肩に対する治療や生活指導を行なっています。
柔道整復師、理学療法士によるリハビリテーションや、四十肩の症状・状況に応じた機械治療なども可能です。
肩の動きに痛みや違和感がある方は、お早めに当院へご相談ください。